【トゥシューズの選び方】7つのポイントを解説!間違えたときのリスクとは?
バレエをはじめて数年が経ち、「やっとポアントトレーニングが開始できる!」という方は、これからはじめてのトゥシューズを買いに行くと思います。しかし、トゥシューズをどのように選べばいいのかが分からないという方も多いのではないでしょうか?
今回の記事では、はじめてトゥシューズを購入するという方に向けて、トゥシューズの選び方を解説していきたいと思います。
選ぶときに考慮しておきたいポイントを7つにまとめ、分かりやすく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。また、トゥシューズ選びを間違えてしまった場合のリスクについても解説しています。
CONTENTS
トゥシューズとは?
トゥシューズとは、つま先で立つために作られたバレエ専用の靴です。シューズの先端に固い詰め物が入っており、足を伸ばしてつま先で立てるように作られています。
トゥシューズの歴史は古く、19世紀に誕生したロマンティックバレエにおいて、妖精のような踊りを表現するために作られました。
つま先での立ち下りを滑らかに繰り返したり、つま先で流れるように移動したりすることで、重力に囚われない軽やかな踊りを表現することができます。
トゥシューズはいつから履けるようになる?
トゥシューズを履くためには、筋力や柔軟性など様々な項目において一定の水準をクリアしなければならないと言われています。そのため、通っている教室や学校の先生から着用の許可をいただけなければ、履くことはできません。
一定の水準がどれくらいのレベルを指しているのかは先生ごとに違うため、これといった明確な基準は存在しないのですが、条件の一つとして「バレエの基礎をしっかりと修めていること」は、どの先生においても共通の認識としてあるのではないかと思います。
いつから履けるようになるのかについては、全てを説明しようとすると非常に長くなって今うため、より詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。
▼トゥシューズはいつから履けるようになるのか?
【前提】トゥシューズは自分で選ばない!?
それでは、いよいよトゥシューズの選び方について解説していきたいと思うのですが、その前にひとつお伝えしておくべきことがあります。
それは、「はじめてのトゥシューズを自分ひとりで選ぶことはない」ということです。
なぜ自分ひとりで選んではいけないのかというと、人間には個体差があり、当記事でトゥシューズの選び方を理論的に理解していただいたとしても、それがあなたにとって必ずしも正しいものとは限らないからです。
踊りの性質や肉体的特徴など、実際に触れあっている第三者でなければ分からない「あなたの特性」といった情報も、トゥシューズ選びにおいては非常に重要なのです。
だから、はじめてトゥシューズを選ぶときは、基本的に
- シューフィッター
- 先生
のどちらかに選んでいただきます。
シューフィッターとは、バレエ用品店にいるトゥシューズのフィッティングをお手伝いしてくれる専門の方のこと。つまり、トゥシューズ選びのプロの方ですね。
足のサイズを測ってくれたり、その場で簡単なカウンセリングを行ってくれたりと、バレエ用品店によってサービスの内容は違いますが、専門家としてあなたに合うトゥシューズ探しを手助けしてくれます。
先生は、通っている教室もしくは学校の先生になるかと思います。先生はあなたの踊りの癖やレベルなどを理解しており、そういったあなた個人の情報と先生自身がもともと持っているトゥシューズに関する知識を総合して、あなたに適するトゥシューズを選んでくれます。
トゥシューズの選び方|7つのポイント
それでは、いよいよトゥシューズの選び方について、7つのポイントから解説していきます。
足の形に合うものを選ぶ
人間の足の形には、大きく分けて3つの種類があります。下記の図をご覧ください。
- エジプト型
親指が最も長く、小指に向けて短くなるタイプ。日本人の中で最も多い。 - ギリシャ型
人差し指が最も長く、上から見ると三角形に見えるタイプ。日本人の中ではエジプト型に次いで数が多い。 - スクエア型
指の長さがほとんど同じで、上から見ると四角形に見えるタイプ。日本人の中では5%ほどしかいないと言われている。
自分の足の形を把握し、それに合った形のトゥシューズを選びましょう。足の形が関与するのは、主にトゥシューズのボックス部分です。
ボックスとは、足先を包み込む部分を指しています。ボックスの形は様々あり、先が細くなっているものや幅が広めにとられているものなど、商品によって形が異なるため、自分の足の形と照らし合わせてみて、ボックスの形が合っているものを選びましょう。
例えば、ギリシャ型の人は先細のボックスが合いやすく、エジプト型やスクエア型の人は四角に近いボックスが合いやすい傾向にあります。ただし、指の長さによっても合うボックスの形は異なるため、足の形だけでボックスの形を決めつけず、フィッティングしたときの感覚で決めるのがおすすめです。
サイズとワイズの合うものを選ぶ
トゥシューズには、サイズとワイズという指標が設けられています。それぞれの表すものは下記の通りです。
- サイズ:足の長さ(足長)
- ワイズ:足の幅(足囲)
どちらも最も長い・広い部分を基準としています。
普通の靴と同じように、サイズとワイズの合った物を選びましょう。
合っているのかどうかの確認について、下記の3つのポイントを目安にすると分かりやすいのでおすすめです。
トゥシューズのかかとがつまめるか
トゥシューズを履いたとき、かかとの履き口部分がつまめる場合は、余りが出ている可能性があるため、サイズを下げたほうがいいかもしれません。
余りがある状態だと、ドゥミポアントの際にトゥシューズが脱げてしまう恐れがあります。
履き口に空間がないか
トゥシューズを履いたとき、履き口の部分に空間がある場合は、サイズが大きい可能性があります。
この空間があると、空いている部分に足が沈んでしまい、正しく指を伸ばせないため、親指や小指を痛めてしまう恐れがあります。
また、シューズの引き紐を使って緩みを調整する方がいますが、引き紐はあくまでも微調整のために使うものなので、引き紐を使ってサイズをコントロールしようとするのはやめましょう。
引き紐にサイズを変える機能は備わっていないので、見た目には緩みがなくなったように見えても、実際は緩い状態で履いていることになってしまう恐れがあります。
指先がゆるく感じないか
トゥシューズは、指先の感覚が少し窮屈に感じるくらいのサイズで選ぶのがおすすめです。何故なら、使っていくうちに足の形に馴染んでいき、サイズが変化するからです。
ただし、指先が曲がってしまう場合は、明らかにサイズが小さいため注意が必要です。
ヴァンプとクラウンの合うものを選ぶ
ヴァンプはトゥシューズの先端から履き口までの長さを表しており、クラウンはトゥシューズを横から見たときの履き口の高さを表しています。
ヴァンプの選び方
ヴァンプは足の指の長さに関与する指標です。指が長い人や甲が高く出やすい人は、ヴァンプが長めのトゥシューズが合いやすく、反対に、指が短い人や甲が低い人はヴァンプが短めのほうが合いやすいです。
ただし、足の形など人それぞれ個人差がある要素によって適するものが変わるため、ヴァンプ以外の要素も総合的に踏まえて決めるのがいいでしょう。
クラウンの選び方
クラウンは甲の高さに関与する指標です。甲が高い人はクラウンの高いものを、甲の低い人はクラウンの低いものを選ぶのがおすすめです。
ただ、クラウンの高さはボックスを潰すことで変化します。トゥシューズは自分の足に合わせてカスタマイズすることが多く、クラウンの高さもボックスを潰すことで調整が可能です(限界はあります)。
自分に合ったシャンクを選ぶ
シャンクとは、インソールのことです。シャンクは商品によって硬さや長さが異なり、自分に合ったシャンクのトゥシューズを選ぶ必要があります。
しかし、シャンク選びは本当に難しく、これといった明確な答えが存在しません。足裏の筋力やポアントの感覚、練習の方針など、個人差の出やすい要素が大きく関与しているからです。
一般的には、初心者の方は柔らかめのものを選ぶ傾向にあるといわれています。硬いシャンクを扱うためには足裏の力が必要とされるため、まだトゥシューズに慣れておらず足裏の筋力が弱い初心者は上手く扱えないからです。
しかし、先生によってはあえて硬めのシャンクを選び、立てる感覚を身に付けさせるという方針の方もいます(硬いシャンクの方がサポートする力が強いため、立ちやすい。ただ、サポートに頼りすぎると、立っているのではなく、シャンクに乗っている状態担ってしまうことがある)。
また、硬いシャンクを使うことで足裏の筋力トレーニングにもなるため、あえて硬めを勧める先生やシューフィッターの方も少なくありません。
シャンクはカスタマイズもできる
シャンクはカスタマイズが可能で、切って短くしたりすることもできます。カスタマイズする人は多く、カスタマイズを前提にトゥシューズを選ぶ人もいるほどです。初心者の方がいきなりカスタマイズに挑戦することは無謀なのでしばらくは行うことがないとは思いますが、このようにシャンクというのはカスタマイズ次第で種類が無限に広がるため、正解は人の数だけ存在しています。
はじめてのトゥシューズでシャンクが完璧にフィットするというのは難しいため、少しずつ自分にとって合うシャンクを模索していくのがおすすめです。
自分に合ったボックスの柔らかさを選ぶ
ボックスの硬さは、トゥシューズによって異なります。ボックス選びもシャンクと同じように合う合わないは個人差が大きいため、フィット感や使用感などを頼りに決めることを推奨します。
プラットフォームを選ぶ
プラットフォームとは、トゥシューズの先端部分を指しており、商品によって形や広さ、角度が異なります。プラットフォームは体重を1点で支える大切な場所であり、バランス感覚を大きく左右するため、自分にとって最もバランスの取りやすいプラットフォームを選ぶ必要があります。
一般的に、面積が広いものは安定感があってバランスが取りやすいです。ただ、バランス感覚というのは個人差が激しいため、プラットフォームの面積が狭くてもそれ以外の指標がピッタリとハマった場合、足とトゥシューズが一体になったような感覚が得られるため、十分にバランスが取れるということは当然のことのようにあり得ます。
そのため、シャンクの硬さやボックスの柔らかさと同様に、自分の感覚を頼りに決めるのが最も間違いが少なく済むでしょう。
経験豊富な人の中には職人でトゥシューズを選ぶ人も?
トゥシューズのブランドに『フリードオブロンドン』というブランドがあります。
フリードオブロンドンのトゥシューズは、1足ずつ職人の手作業によって作られており、扱うのが難しいトゥシューズではありますが、使いこなすことができれば、しなやかで美しい足元を演出してくれます。国内外を問わず多数のプロバレエダンサーに愛用されており、バレエ団によってはフリードオブロンドンを支給するところもあるほどです。
そんな魅力に溢れるフリードオブロンドンのトゥシューズですが、手作業で作られているため、職人ごとに作りが異なります。そのため、「どの職人が作ったものなのか?」を買い手が見分けられるように、商品には作った職人のマークが印として付けられているのです。
だから、プロのバレエダンサーは、自分の足に合う職人を見つけたら、その職人が作ったトゥシューズを主に使うようになります。職人で道具を選ぶなんて、プロの世界という感じがしますよね。フリードオブロンドンを目標にポアントレッスンを頑張るのもいいかもしれません。
トゥシューズの選び方を間違えると?
これまでトゥシューズの選び方について説明してきましたが、選び方を間違えるとどんなリスクがあるのでしょうか? 主に考えられる3つのリスクについて、解説します。
足の力が正しく靴に伝わらない
まず1つ目に挙げられるのが、足の力が正しく靴に伝わらないことです。これは、緩めのサイズを選んでしまったときに起こりやすい問題です。サイズが緩いと、足とトゥシューズの間に隙間が生まれてしまい、足の力を均等にトゥシューズへ伝えることができなくなってしまうのです。
理想は、足の力が漏れなく均等にトゥシューズへ伝わること。そうすることで、トゥシューズは足と一体化し、自分の身体の一部のように扱うことができます。サイズ選びの際は、緩めではなく少々窮屈に感じるくらいの感覚で選ぶのがおすすめです。
ポアントの足が綺麗に見えない
2つ目は、ポアントの足が綺麗に見えないことです。これは、サイズやワイズ、シャンクの硬さやボックスの形などの相性が悪いときに起こりやすい問題です。これらの相性が悪いと、ソールが浮いて見えたり、小指が出っ張って見えたりして、ポアントしたときの足が汚く見えてしまいます。
この問題を回避するポイントは、足の形や足裏の筋力に合ったトゥシューズを選ぶこと。足先を細く見せようとして、スクエア型なのに先細のボックスを選ぶなど、合わない選び方は控えるのがおすすめです。
指を痛めやすい
最後は、指を痛めやすいことです。これは、サイズがきついときだけでなく、サイズが緩いときにも起こる問題です。サイズがきつい場合、当然ですが指が圧迫されて痛みを感じます。サイズが緩い場合でも、シューズの中に遊びが生まれてしまい、擦れたり指に負担がかかったりして、同じように痛みを生んでしまうことがあるのです。
トゥシューズには足全体をサポートする力があります。遊びが生まれると、そのサポートする力が遊びの空間に逃げてしまって、指に大きな負担がかかってしまうのです。だから、もしも指が痛い場合は、サイズがきついことだけでなく、サイズが緩い可能性も疑ってみるのがおすすめです。
正しくトゥシューズを選んでバレエを楽しもう!
いかがでしょうか。トゥシューズの選び方について、7つのポイントから解説しました。それぞれのポイントでも何度か書いているのですが、トゥシューズを選ぶときに最も頼りになるのは、自分の感覚です。足の形や筋力、踊りの癖は本当に人それぞれなので、画一化された理論よりも個人の感覚の方が正義なのです。
ただ、理論を頭に入れておくことで、どこに注目すればよいのかが分かり、感覚も研ぎ澄まされていくと思うので、ぜひ今回の記事を参考にはじめてのトゥシューズを選びにいっていただけますと幸いです。
自分に合ったトゥシューズを見つけて、バレエをもっと楽しみましょう!
▼バレエシューズとの違いはこちら
▼バレエシューズに関するまとめ記事はこちら
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