【インタビュー】ジャイロキネシス認定トレーナーの高山希さん

バレエエクササイズ

岡山県倉敷市を活動の拠点とし、バレエ教室の先生として活動されている高山希(たかやまのぞみ)さん。ジャイロキネシスの認定トレーナーを取得されており、自身のバレエ教室でジャイロキネシスのクラスを開講されるなど、認定トレーナーとして活動されています。

今回の記事では、そんな高山希さんに、ジャイロキネシスの認定トレーナー資格についてインタビューさせていただきました。資格を取得するまでに至った経緯や、養成コースに通ってみての感想を伺いましたので、そのレポートをお届けします。

高山希さんプロフィール

写真:小田代俊英

<高山希さん プロフィール>
4歳よりバレエを始める
高校卒業まで広島、森川里美バレエアカデミー所属
R.A.D.Vocational Intermediate取得/Adovanced1取得
昭和音楽大学短期大学部バレエコース卒業
福岡のツルタバレエ芸術学校で6年間専任教師を勤める
現在、岡山の椙元園子バレエ・スタジオに在籍し、講師をしながらワガノワメソッド、チェケッティーメソッド、コンディショニングを研修中
倉敷にPeerBallet(バレエ教室)を設立
ジャイロキネシス®認定トレーナー
PBT認定トレーナー

【インタビュー】ジャイロキネシス認定トレーナー資格について

取得された時期やきっかけ

ーーインタビュアー

ジャイロキネシス認定トレーナーの資格はいつ頃に取得されたのでしょうか?

ーー高山さん

かなり前のことなので正確な日付は定かではないのですが、5年ほど前にはじめて養成コースを受講しました。

ーーインタビュアー

かなり前に取得されていたんですね。ジャイロキネシスに興味をもたれたきっかけはなんだったのでしょう?

ーー高山さん

お世話になっている教室の先生が、今回通っていた養成コースの先生と知り合いで、「ジャイロキネシスっていうのがあるんだけど、自分の幅を広げるために役立つと思うから受けてみたら?」と勧めてくれたことがきっかけです。

ただ、そのときはジャイロキネシスがどんなものか、まったく知らなくて、どんなものか分からないけど、先生が勧めてくれるのであれば一度受けてみよう、といった気持ちで養成コースを受けました。

ーーインタビュアー

ジャイロキネシスに興味をもって、ではなく、先生が勧めてくれたからという理由で受講されたんですね。

ーー高山さん

はい、そうです。

実際に通ってみての感想

ーーインタビュアー

実際に通われてみて、いかがでしたか?

ーー高山さん

かなり大変でしたが、実りのあるいい経験になりました。私が通っていた養成コースの先生が元バレエダンサーとして活躍されていた方で、その方に指導をしていただいたんですけど、「分かるまで諦めない」というのが先生の指導方針でした。

妥協が許されない分、辛いこともたくさんあったんですけど、上手くできなくて苦しいときも、生徒に寄り添っていっしょに壁を乗り越えてくれるので、最終的には本当に通ってよかったと思っています。

ーーインタビュアー

なるほど。バレエ教室の先生として活躍されている高山さんでも、ジャイロキネシスの資格を取ることは大変だったんですね。

ーー高山さん

そうですね。養成コースには、私を含めて7名ほどの生徒がいたんですけど、あまりのきつさに途中で断念されたり、涙を流す方も何名かいました。

ーーインタビュアー

かなりハードな内容だったんですね! 涙を流すほど厳しいとは……。ちなみに、高山さんはいかがでしたか?

ーー高山さん

私も一度だけ泣きました。ただ、そのときは感動の涙というか、知らなかったことが分かるようになったうれしさで泣いてしまったという感じです。

ーーインタビュアー

辛さからの涙ではなかったんですね。どういった体験からくるものだったんでしょう?

ーー高山さん

私の場合は、本当の腹筋の使い方が分かったときに、涙がでました。

ジャイロキネシスでは、身体の奥にある筋肉の使い方を学びます。「こんなところに筋肉あったんだ!?」という気づきも多く、そういった筋肉を上手く使えるようになると、いままでどれだけ無駄な力を入れていたのかが分かるんです。

言葉にすると簡単そうに聞こえるのですが、そういった筋肉を上手く使えるようにまでが本当に大変で……(苦笑)。だから、上手く使えたときの感動はひとしおのものでした。「これが本当の腹筋の使い方なんだ!」と驚きましたね。

ーーインタビュアー

なるほど。それは貴重な体験ですね。ほかの生徒さんたちも同じような体験をされているのでしょうか?

ーー高山さん

そうですね。同じような人は何名かいました。特に、女性は仙骨の部分が固まっていることが多く、その部分を先生がほぐしてあげると、初体験の衝撃で涙を流す人が多かったです。

ーーインタビュアー

仙骨というと、骨盤の一部で身体の土台となる骨ですね。身体の歪みに悩まされている女性は多いので、生まれて初めてその部分をほぐされたら、衝撃もすごそうです。

どんな人たちとレッスンを受けていたのか

ーーインタビュアー

ほかの生徒さんはどんな方々がいらっしゃったのでしょう?

ーー高山さん

いろいろな方がいました。バレエ関係者は意外と少なくて、ベリーダンスや社交ダンス、コンテンポラリーを踊られている方が多かったですね。年齢層は30代くらいの方が多くて、中には高校生の子もいたんですけど、基本的には当時の私よりも年上の方がほとんどでした。

ーーインタビュアー

なるほど、幅広い職業・年代の方がいらっしゃったんですね。

ーー高山さん

そうですね。中には整形外科の先生もいたりして、とにかく皆んな自己成長の意識が高かったです。

ーーインタビュアー

お医者様まで! それはびっくりです。本当にいろいろな方が受講されていたんですね。

身体や踊りの変化

ーーインタビュアー

皆さん、自己成長の意識が高く、辛いレッスンを乗り越えてジャイロキネシスの資格を取得されたのだと思うのですが、高山さん自身、ジャイロキネシスを学ばれてみて、身体や踊りに変化はありましたか?

ーー高山さん

そうですね。踊りについては、無駄な力を入れないで身体を動かせることになったことが大きな変化だと感じています。

ジャイロキネシスを学び、これまで動かしたことのない筋肉を動かせるようになったので、外側の大きな筋肉に頼らず、身体の奥にある細かい筋肉たちも連携させて身体を動かせるようになりました。無駄な力みが減って疲れにくくなりましたし、身体の細部まで使えているような感覚が得られています。

あと、より呼吸の巡りを感じられるようになりましたね。ジャイロキネシスでは、筋肉の使い方だけでなく、身体の隅々まで呼吸を巡らせることも重視されています。しんどくなると呼吸は浅くなりやすいものですが、ジャイロのおかげで深い呼吸ができるようになり、腕や指先まで酸素を行き渡らせられるようになった気がします。

ーーインタビュアー

なるほど、そういった変化があったんですね。中でも、やはり「余計な力みがなくなった」というのがひとつのキーワードなのでしょうか?

ーー高山さん

はい。それはジャイロキネシスならではの変化だと思います。

ーーインタビュアー

バレエでは、外側の大きな筋肉ではなく、内側の体幹を使って身体を引き上げることが推奨されています。余計な力みをなくすことができるジャイロキネシスは、バレエにも活かされそうですね。

ーー高山さん

そうですね、バレエにも必ず活きてくると思います。

実際に指導されることはある?

ーーインタビュアー

高山さんは、ジャイロキネシスの資格を取得後、実際に指導されることはありますか?

ーー高山さん

自分の教室で、月に何度かジャイロキネシスのクラスを開講しています。私の教室では子供たちを中心に教えているんですけど、週に5回などハードにレッスンしている子たちは、けがをしてしまうことも珍しくありません。

そういうときは、ジャイロキネシスのクラスを受けてもらって、身体を調整してもらっています。

あと、その子供の親御さんが、レッスンの様子を見て、ジャイロキネシスを受けてみたいと仰ってくれるときもありました。そこで、大人の方に向けてジャイロキネシスのレッスンを開講したこともありますね。

ーーインタビュアー

なるほど。たしかに、ジャイロキネシスであればバレエ経験者に限らず行えるので、親御さんからも興味をもたれそうですよね。

ーー高山さん

はい。ジャイロキネシス自体が珍しいですからね。たまに、同年代の方が「ジャイロキネシスを体験してみたい!」と来られることもあります。岡山は東京よりもジャイロキネシスを受けられる機会が少ないので、そういった「体験してみたい」という方にその機会を提供できるのはうれしいですね。

ーーインタビュアー

岡山県で徐々にジャイロキネシスのよさが広まっていますね。

ーー高山さん

そうだとうれしいのですが、やはりまだまだジャイロキネシスの知名度は低く、私もバレエ教室と結び付けなければ、指導の機会を得られなかったと思います。岡山でジャイロキネシスだけの教室を運営するのは難しいのではないかなあ、と感じました。

ーーインタビュアー

東京では話題に上ることが増え始めたような印象がありますが、それでも全国となるとまだまだ知名度の伸びしろが残っているような状況なんですね。

ーー高山さん

はい。

これから受けられる方へのアドバイス

ーーインタビュアー

それでは、そろそろ時間が迫ってまいりましたので、最後に、これからジャイロキネシスの養成コースに通おうと思っている、認定トレーナーを目指している方々に向けて、アドバイスをいただいてもよろしいでしょうか。

ーー高山さん

分かりました。

レッスンはとても大変ですが、必ず身体が応えてくれると思うので、ぜひ受けてみてください。きっと、自分にとってプラスになると思います。

あと、”資格のために”ではなく、”自分や教室の生徒のために”ということを動機に置いたほうが、厳しいレッスンを乗り越えられると思います。

実際にジャイロキネシスの認定トレーナーを取得してみて、資格そのものではなく、その過程で得られる経験や、その知見を生徒に教えられることに価値があるのではないかと感じました。

ぜひ、自分のレベルアップや生徒のためにジャイロキネシスの認定トレーナーを目指してみてください。

写真:小田代俊英

【番外編】ジャイロキネシスを受けてみた感想

インタビュー当日、高山希さんが先生をされているバレエ教室で、ジャイロキネシスを開講されていたそうなのですが、記事の補足や参考資料になればと、そのとき受講されていた生徒さんたちに感想を伺ってくださいました。

動画としてご提供いただいたのですが、当記事ではテキストベースでご紹介させていただきます。

ジャイロキネシスを受けてみて感じた変化や、今後のバレエにどのように活かしていきたいかについて答えてくださいました。

9歳の女の子
ージャイロキネシスを受けてみて、何か変化はありましたか?
足が軽くなりました。
ーバレエのレッスンで気をつけたいことはありますか?
(肩のあたりを押さえて)ここを抜いて動かすことを気をつけたいと思います。

14歳の女の子
ージャイロキネシスを受けてみて、何か変化はありましたか?
ジャイロをすると体が感じられる空間が広かった感じがしました。そして、背骨や肩の関節に隙間ができた気がしました。
ーバレエのレッスンで気をつけたいことはありますか?
背骨やデコルテの部分が動きやすくなったので、その部分をよく使って表現することです。デコルテの部分が広がると目線が少し上がる感じがして気分もスッキリしました。ジャイロをすることでプラスに繋がることがたくさんあったのでこれからもジャイロをやりたいと思いました。

11歳の女の子
ージャイロキネシスを受けてみて、何か変化はありましたか?
(左肩を押さえて)ここがいつも硬いのに、柔らかくなって、使えるところが広がったような気がします。
ーバレエのレッスンで気をつけたいことはありますか?
外側によく力が入るので、内側の筋肉を使えるようにしたいと思いました。

12歳の女の子
ージャイロキネシスを受けてみて、何か変化はありましたか?
背骨の可動域が広がりました。
ーバレエのレッスンで使えそうなことはありますか?
股関節を使えるようにして、上手くアラベスクをしたいです。

12歳の女の子
ージャイロキネシスを受けてみて、どうでしたか?
股関節をお腹にはめて軽く脚を上げる方法や、地面を押す力がすごいと思いました。
ーバレエのレッスンで使えそうなことはありますか?
先生が説明してくれた足を使った方法や、木の根を下ろす感覚を活かしたいです。

14歳の女の子
ージャイロキネシスを受けてみて、どうでしたか?
ジャイロをしたあとに歩いたり立ったりすると、土踏まずがちゃんと母指球・小指球・踵を押した状態で床を感じることが出来て、土踏まずの感覚がはっきりしました。あと、ジャイロをすると身体だけじゃなくて心も元気になりました。
ーバレエのレッスンで気をつけたいことはありますか?
骨頭に付け根をはめて足を浮かべたときのように、タックインせずにデベロッペすることを目標にしたいです!

13歳の女の子
ージャイロキネシスを受けてみて、どうでしたか?
地べたを感じやすくなりました。
ーバレエのレッスンで使えそうなことはありますか?
地面を押す力で足を上げられるようにしたいと思います。

インタビュー後記

今回のインタビューでは、ジャイロキネシスの認定トレーナー資格を取得され、現場で指導も行われている高山さんから、ジャイロキネシスの認定トレーナー資格についてお話しを伺わせていただきました。

レッスンの厳しさやそれを乗り越えるために必要な心構え、乗り越えた先で得られるものの尊さなど、実際に認定トレーナーとして活躍されている高山さんだからこそ聞ける、貴重なお話しばかりでしたね。

ジャイロキネシスの指導者を目指されている方、興味をもたれている方にとって有益なインタビューとなったのではないでしょうか。

ジャイロキネシスの認定トレーナーになることはそう簡単ではありませんが、その過程で得られる経験は何物にも代えがたい宝物です。

ぜひ、自分のレベルアップのためにも、ジャイロキネシスの認定トレーナーを目指されてみてはいかがでしょうか。

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