バレエ体型とは?特徴や大人からでも目指せるのかを解説

バレエ入門

皆さま、バレエ体型という言葉を聞いたことはありますか? ダイエットやフィットネスなどのシチュエーションで耳にする方が多いのではないかと思いますが、耳にする機会が多い割に「じゃあ具体的にはどんな体型なの?」という一歩踏み込んだ領域まで理解している方は少ないように感じられます。

今回の記事では、バレエ体型の特徴について解説します。具体的な5つの特徴について詳しく説明し、大人からでもバレエ体型になることは叶えられるのか?といった疑問にもお答えしていくので、バレエ体型に憧れている方や興味のある方はぜひ参考にしてみてください。

バレエ体型という言葉の定義

本題に入る前に、バレエ体型という言葉の定義を定めておきたいと思います。バレエ体型という言葉は、辞書に登録されていない造語です。そのため、個々人によって言葉の定義が異なる可能性があります。当記事では、様々な調査と筆者の主観をもとに、下記の通りバレエ体型という言葉の定期を定めます。

バレエ体型

バレエダンサーのようにほっそりとした体型のこと

これが絶対の正解というわけではないので、その点ご理解ください。世間では違う意味で捉えられている可能性も十分にあります。ただ、記事を書く上で言葉の定義を定めなければ、話を進められないため、便宜上として上記の通り意味を定めます。

バレエ体型の特徴|5つのポイント

それではまず、バレエ体型の特徴について説明します。バレエ体型と呼ばれる方には、大きく分けて5つの特徴があります。

①頭が小さいこと

まず1つ目は、頭が小さいことです。トップのバレエダンサーを見てみると分かる通り、皆さん非常に頭が小さいです。頭身数でいうと、8頭身や9頭身は当たり前特にロシア人バレエダンサーは異次元レベルで頭が小さく、10頭身くらいの方もざらに存在しています。

日本人の平均頭身数が7頭身であることを踏まえると、バレエダンサーの頭がどれだけ小さいのか分かりますね。そのため、バレエ体型と呼ばれる方も同じように頭が小さい傾向にあります。

②首・手・足が長いこと

2つ目の特徴は、首・手・足が長いことです。モデルや女優など人に見られる職業の方々を見て分かる通り、長くしなやかな手足はその人を美しく見せます。また、首の長さについても、同じように長いほうがデコルテラインが綺麗に見えるため、美しく見える傾向にあります。首の長さは姿勢が悪いほど短く見えるため、必然的に姿勢のよさも特徴のうちに含まれるでしょう。

バレエも舞台芸術なので、これらの職業と同じです。人々を惹きつけるような美しさを表現するためには、首や手足が細長くあったほうがよいのです。そのため、バレエ体型と呼ばれる方は首や手足が長い傾向にあります。

③ある程度の身長があること

3つ目の特徴は、ある程度の身長があることです。バレエでは舞台上で演技を映えさせるために、一定以上の身長の高さを求められます。「ある程度」と表現が曖昧になってしまっているのは、国やバレエ団によって求める身長の高さが異なるからです。

主要なバレエ団のオーディション要綱から、身長制限にまつわる項目を抜粋してみましょう。

バレエ団 / 国身長制限出典
新国立劇場バレエ団 / 日本女性:163cm以上リンク
Kバレエ カンパニー / 日本女性:160cm以上希望リンク
東京バレエ団 / 日本女性:160cm以上リンク
ポーランド国立バレエ団 / ポーランド女性:172cm以上リンク
バイエルン州立バレエ / ドイツ女性:168cm以上リンク

※ これらの情報は記事執筆時点のものになります。すでに終了しているオーディションも含まれますので、その点ご留意ください。

上記の表を見れば分かる通り、国やバレエ団ごとに基準は違いますが、オーディションには身長制限が設けられています。日本ではおおよそ160cm以上の身長が求められ、海外のバレエ団では168cm以上というさらに高い身長が求められます。

日本人女性の平均身長が158cmであることを踏まえると、これらの数値はかなり高いことが分かりますね。このような事実から、バレエ体型と呼ばれるためにはある程度の身長が必要です。具体的な基準として160cm以上を目安にすると分かりやすいでしょう。

④身体のパーツがバレエに適していること

4つ目の特徴は、身体のパーツがバレエに適していることです。バレエに適した身体のパーツとは、具体的に下記のようなものを指します。

立体的な身体であること真上から見て、身体が円柱に近いこと。演技に迫力を出せるだけでなく、体幹が強いため踊りに安定感が生まれる
脚がまっすぐ、もしくはX脚であること脚を伸ばしたとき、綺麗なラインを描ける
足の甲が高いこと甲が高いことで立体的な印象が生まれ、つま先を伸ばしたときに綺麗なラインを描ける
バレエに適した身体のパーツ

これらを持つ方は、バレエ向きな身体的特徴の持ち主と言えるでしょう。

⑤細いこと

5つ目の特徴は、細いことです。痩せていること、とも言い換えることができます。これまで、頭が小さいことや首手足が長いことなど、バレエ体型の様々な特徴について説明してきましたが、最後に解説する「細いこと」が最も重要と言えるかもしれません。

プロのバレエダンサーで太っている人は、まずいません。普通くらいの方も、ほとんどいないでしょう。何故なら、バレエでは「細く在ること」が厳しく求められるからです。

毎日のように体重を測定して数値的に体型をコントロールするのはもちろん、日々のレッスンでは身体のラインが崩れていないかどうかといった外見的要素も厳しくチェックします。すべては、舞台上で美しい姿を魅せるためです。

バレエにおける「細い・痩せている」については、詳しい説明を必要とする内容であるため、次の節で解説したいと思います。ここでは、バレエダンサーは細く在ることが求められているため、バレエ体型と呼ばれるためには、細くなければいけないという結論で、いったん終えます。

バレエ体型における「細い」とは?

先ほど、バレエ体型の特徴として「細いこと」を挙げました。バレエ体型という言葉の定義が「バレエダンサーのようにほっそりとした体型のこと」になるため、バレエ体型における「細いこと」とは、バレエダンサーのような細さとほぼ同義ということになります。

しかし、「細い」というのは比較や数値的基準を必要とする、相対的な表現です。例えば、一般人がイメージする細い人とモデルがイメージする細い人は、きっと違うものになるでしょう。このように、バレエにおいても「細い」という表現の定義は人や組織によって異なります。

しかし、その結論では具体的なイメージが湧きづらいと思うので、今回の記事では、「細い」に対して、数値的な側面外見的な側面と2つの分けて指標を設け、それぞれについて説明していきたいと思います。

指標①BMI(数値的な側面)

まず1つ目の指標は、BMIです。BMIとは、ボディマス指数=Body Mass Indexの略称で、体重と身長の関係からヒトの肥満度を測る体格指数を指します。

BMIの計算式

BMI=体重 / kg × (身長 / m)²

例①:165cm 50㎏=BMI:18.37

例②:165cm 55㎏=BMI:20.20

BMIの計算方法は、上記の通りになります。こちらを見れば分かる通り、BMIの定義においてヒトという生物は、BMIの数値が低いほど痩せているということになります。

ローザンヌ国際バレエコンクールのBMIに関する見解

では、具体的にBMIがどれくらいの数値であれば、バレエ体型として細いと言えるのでしょうか? 若手バレエダンサーの登竜門として世界的な知名度を誇る、『ローザンヌ国際バレエコンクール』の見解から、適したBMIの数値を探ってみましょう。

ローザンヌ国際バレエコンクールの調査結果
女性バレエダンサー全体
身長:163.6cm体重:47.8kgBMI:17.8
白人バレエダンサー
身長:164.8cm体重:49.4kgBMI:18.2
アジア人バレエダンサー
身長:162.3cm体重:46.0kgBMI:17.5

こちらは、2004年と2005年のローザンヌ国際バレエコンクールに参加した女性の身長・体重を調べたものです。出典

ローザンヌ国際バレエコンクールに参加できるのは、本当に優れた若手のバレエダンサーのみ。技術的にはもちろん、体型としても高い評価を得られるような人が出場できるため、上記の調査結果はバレエダンサーとしての理想的な値を示していると言えるでしょう。

つまり、バレエ体型に適したBMIは17~18ほどということになりそうです。

BMIは低すぎてもダメ

ローザンヌ国際バレエコンクールでは、参加者の健康を守るために、健康に関する基準としてHealth Policyというものを発表しています。その中で、身長・体重に関する項目として、BMIを基準に年齢ごとの最低体重を定めるものがあります。それが下記の表です。

※一部抜粋です

年齢BMI体重
15歳15.9843.5kg
16歳16.4444.75㎏
17歳16.7745.65㎏
18歳1746.28㎏
身長を165cmと仮定した場合

いかがでしょうか。ローザンヌ国際バレエコンクールが定めている年齢ごとのBMIを基に、165cmの場合における体重を記載しました。

ローザンヌ国際バレエコンクールに参加を希望する者は、BMIがこの数値を下回ってはいけないことになりますが、体重の下限があるのはなぜでしょうか? バレエでは細いほうが良しとされているイメージがあるため、下限が設けられているのは不思議ですよね。

その理由は、バレエダンサーの心の中には「細ければ細いほど良い」という観念が植え付けられており、下限を設けなければ、健康不良を起こすレベルで痩せてしまうからです。

先述した通り、バレエでは「細く在ること」を厳しく求められます。ハラスメント排除の動きが活発となっている現在(2021年)では、無理なダイエットを強制するバレエスクールも減りましたが、それ以前では「とにかく痩せていること」を求めるスクールが沢山ありました。

象徴的な表現として、「身長ー120」という指標があります。これはつまり、身長(cm)から120を引いた数字よりも下回ることが体重として適正である、という意味を指しています。165cmなら、45㎏以下。160cmなら、40㎏以下です。これは、明らかな痩せすぎです。17歳以上に限られば、ローザンヌ国際バレエコンクールの最低体重を下回る数値であり、健康障害を発症してもおかしくありません。

具体的な健康障害としては、下記が挙げられます。

  • 摂食障害
  • 拒食症
  • 過食嘔吐
  • 生理不順
  • 栄養失調
  • 骨粗鬆症

痩せすぎることによる健康障害ももちろん怖いのですが、それ以上に恐ろしいのがメンタル面での健康障害です。

摂食障害は一度発症してしまうと完治が難しく、最悪の場合は一生付き合っていかなければならないケースもあります。そのため、「細ければ細いほど良い」という固定観念を持つことは危険です。このような健康リスクがありますし、そもそも論としてローザンヌ国際バレエコンクールという世界的に著名な機関において「痩せすぎていること」は否定されています。

「バレエ体型=とにかく痩せていること」ではないということを心に留め、過度なダイエットは絶対にやめましょう。

指標②スタイルがよい(外見的な側面)

2つ目の指標は、スタイルがよいことです。これは先ほど説明したBMIという数値的な側面とは対照的で、「見た目」という外見的な側面の指標になります。

ここでいう「スタイルがよい」とは、筋肉の付き方や姿勢の良し悪し、手足の長さや頭の小ささやなど、あらゆる外見的特徴を総合してバランスが取れていることを指します。細いけど筋肉がない、手足は長いけど姿勢が悪いなど、一方は優れているけどもう一方が優れていない場合、スタイルがよいとは言えません。反対に、身体の各パーツはそれほど優れていないけど全体的に見てバランスが取れている場合は、スタイルがよいと言えるでしょう。

BMIの議論と比べて具体性に欠ける結論となってしまいますが、外見的な側面の指標は主観に依存する部分が大きいため、これといった正解がありません。自分の中でスタイルについて反芻したり、先生や知人などから体型に関するフィードバックをもらうことで、自分の中における「スタイルがよい」という指標の具体的なイメージを築くことができます。

大人からでもバレエ体型になれるの?

大人からバレエをはじめたいと思う方の中には、バレエ体型に憧れていたことがきっかけである方も少なくないと思います。これまでバレエ体型の特徴について詳しく解説をしてきましたが、大人からバレエをはじめた人がこのようになることは叶えられるものなのでしょうか? 

結論から申し上げると、人によってバレエ体型を叶えられるかどうかは異なります。なぜ人によって異なるのかというと、バレエ体型の特徴には遺伝子に依存するものが存在するからです。バレエ体型の特徴をまとめた下記の表をご覧ください。

特徴概要
頭が小さい・頭身数が8頭身から10頭身
首や手足が長い・姿勢が良く長くしなやかな手足
ある程度の身長がある・160cm以上の身長
身体のパーツがバレエに適している・立体的な身体
・脚がまっすぐ or X脚
・足の甲が高い
細い・BMIが17~18
・スタイルがよい
バレエ体型の特徴まとめ

これらの特徴を備えている方は、バレエ体型と呼ばれることもあるのではないかと思います。しかし、先述した通り、これらの特徴の中には遺伝子に大きく依存するものもあり、個人の努力で叶えられるものとそうでないものが存在します。遺伝子に依存するものと努力で叶えられるものを、下記の表にまとめてみました。

特徴才能か努力か
頭が小さい遺伝子にやや依存するが、
努力次第で叶えられる
首や手足が長い遺伝子にやや依存するが、
努力次第で叶えられる
ある程度の身長がある遺伝子に大きく依存する
身体のパーツがバレエに適している遺伝子に大きく依存する
細い努力次第で叶えられる
バレエ体型と遺伝子の相関関係

頭の小ささについては、痩せて余分な脂肪を減らしたり、姿勢を改善したりすることで、頭を小さく見せることは可能です。しかし、頭囲を小さくしたり顔の長さを短くしたりなど実際の大きさを小さくすることは整形でもしない限り叶えられません。そのため、努力次第である程度は叶えられますが、遺伝子に依存する部分もやや存在する特徴と言えるでしょう。

首や手足の長さについても、頭の小ささと同様です。ある程度は努力によって叶えられますが、骨を伸ばして手足を長くすることは現実的に難しいため、やや遺伝子に依存する特徴と言えます。

身長と身体のパーツについては、ほぼ遺伝子に依存すると言えるでしょう。大人から身長を伸ばすことは、現代の整形技術では不可能に近いですし、身体のパーツの形を変えることも、相当難易度の高い整形手術を必要とする可能性が高いため、現実的に見てほぼ不可能です。そのため、遺伝子にほぼ依存する特徴と言えるでしょう。

唯一、努力によって叶えられるバレエ体型の特徴が、細いことです。細いことの数値的な指標である「BMI」の数値をバレエダンサーの理想的値である17~18に近づけることは、食事制限やトレーニングで身体の余分な脂肪を減らすことで叶えることができます。また、外見的な指標であるスタイルのよさについても、これには具体的な正解があるわけではないため、自分の中にその正解を築き上げることで理想像に少しでも近づくことが可能です。

▼ バレエでダイエットしたいと考えている方はこちらの記事もぜひご参考ください

以上のことから、大人からバレエ体型になることは、絶対に不可能というわけではなく、叶えられるか否かはその人の持つ遺伝子によるという結論になります。

バレエ体型には5つの特徴がある

いかがでしょうか。バレエ体型の5つの特徴について詳しく解説し、大人からバレエ体型になれるのかどうかについて検証を行いました。

バレエ体型と呼ばれる人は「頭が小さい・身長が高い・細い」などの5つの特徴を備えていること、大人からバレエ体型になれるかどうかはその人の持つ遺伝子によって変わるということが、ご理解いただけたかと思います。

繰り返しになりますが、バレエ体型における細いことというのは、細ければよいというものではありません。過度なダイエットは人生を狂わせる健康障害を引き起こしかねないため、絶対にやめましょう。

また、これまで解説してきたバレエ体型の特徴は、絶対的なものではなく人によって理想は異なります。「こうでなければいけない」というわけではないので、あくまでもひとつの参考資料として捉えていただけると幸いです。適度なやり方で、自分なりのバレエ体型を目指してみてくださいね。


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