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レッスンに役立つバレエ用語集『リズムの種類』~ワルツ・マズルカetc~

バレエ入門

バレエを踊る際、基礎を意識しながら踊ることは大事ですが、音楽を聴いてリズムに合わせて踊ることもとても重要です。スタジオを覗くと、先生から「音がずれてる!」「リズムに合わせて!」などの声が聞こえてくることもあると思います。

日本ではレッスンの際、バレエの基礎は習いますが、バレエ音楽の歴史やリズムの特徴を教わる機会はあまりないと思います。

今回の記事では、バレエを踊る際、知っておいたほうが役に立つリズムについて、バレ子ちゃんがまとめてご紹介します。

それぞれのリズムの特徴、バレエのレッスンやバレエ作品で出てくるリズムについて解説しているので、一通り見ていただくと踊る際にリズムを意識することができて、ますますレッスンが楽しくなると思います♪

※アルファベット順

Barcarolle(バルカロール/バルカローレ)

拍子:6/8拍子、12/8拍子

舟歌の意で、ヴェネツィアのゴンドラ漕ぎの歌に由来する、6/8拍子または12/8拍子の描写的楽曲です。波のゆれるような伴奏形を持つのが特徴です。

バーレッスンでは、プリエやポールドブラなどゆったりとしたパで使用することが多いわ。

Bolero(ボレロ)

拍子:3/4拍子

スペインで18世紀末頃にセギディーリャの一種として作り出された3/4拍子を特徴とする舞曲です。同じリズムが最初から最後まで延々と繰り返され、さらに二つのメロディーが繰り返されるという独特の音楽です。1780年にスペインの舞踏家S.セレソによって創作され、ギターとタンバリンの伴奏に踊り手が1人または2人組でカスタネットを鳴らしながら複雑なステップを踏むことで有名です。

フランスの作曲家、モーリス・ラヴェルが1928年に作曲したバレエ曲。日本でも馴染みのあるボレロは、1960年に天才振付家モーリス・ベジャールが振付したそう。東京バレエ団のレパートリーとして長年上演されている演目でもあるのよ。

Csardas(チャールダーシュ/チャルダッシュ)

https://www.youtube.com/watch?v=QJbEkkvRURo

拍子:2/4拍子、4/4拍子

ジプシーに由来する2/4拍子または4/4拍子のハンガリーの舞曲です。緩やかな導入部ラッシュー(lassu)と、急速な主部フリッシュ(friss)の2部構成されているのが特徴です。

バレエ作品の「白鳥の湖」第3幕より「ハンガリーの踊り(チャールダーシュ)」や、「コッペリア」第1幕より、広場の若者たちによって熱狂的に踊られるハンガリーの民族舞曲「チャルダッシュ」が有名よ。

Galop(ギャロップ)

拍子:2/4拍子、6/8拍子

「馬の駆け足」のを意味します。19 世紀中頃に流行した急速な躍動的舞曲です。オッフェンバック〈天国と地獄〉が有名です。

子供のクラスのスキップなどのステップで使用することが多いわよ。

Gavotte(ガヴォット)

拍子:2/4拍子、4/4拍子

Gavotteは「アルプスの山に住む人」の意味で、アルプス地方に由来し、17 世紀頃に広まったフランスの舞曲です。中庸のテンポの舞曲で 2/4拍子または4/4拍子で記譜されています。

Gavotteは、タンジュなどでよく使われてるらしいわ。バレエ作品だと、「ロメオとジュリエット」第1幕2場より、客人たちの退場シーンや、「シンデレラ」第1幕でもGavotteが使用されているのよ。2作品とも作曲家セルゲイ・プロコフィエフが作曲したバレエ音楽よ。

Habanera(ハバネラ)

拍子:2拍子

「ハバナの踊り」を意味し、19 世紀初期にキューバのハバナに起こり、流行した舞曲です。緩やかな2拍子の、特徴あるリズムをもっています。イギリスのカントリー・ダンスがスペインに渡り、キューバに伝えられたといわれています。

Habaneraは、フォンデュやセンターレッスンのピルエットなどで使われることが多いわ。バレエ作品だと作曲家ジョルジュ・ビゼーによる「カルメン」が有名よ。

Jig(ジグ)

拍子:6/8拍子、9/8拍子

6/8拍子または9/8拍子の舞曲で、イギリスやアイルランドの民俗的な踊りの形式の一つです。急速で3拍子系の軽快なテンポです。

バレエ作品「コッペリア」第2幕より「スコットランド人形の踊り」でも使用されているわよ。

Landler(レントラー)

拍子:3/4拍子(3/8 拍子)

オーストラリア、バイエルン、ボヘミア地方で行われていた田舎の農民舞曲です。3/4拍子(3/8 拍子)のゆるやかな舞曲で、ゆっくりとしたワルツに近いリズムです。19世紀半ば頃から、ワルツの流行によってすたれたそうです。映画『サウンド・オブ・ミュージック』では、マリアとトラップ大佐がレントラーを踊っています。

日本ではあまり馴染みがないかもれしないけど、作曲家ジャック・オッフェンバックによるバレエ音楽「パリの喜び」や、作曲家リヒャルト・ゲオルク・シュトラウスによるバレエ音楽「お菓子のクリーム」でLandlerが使用されているわ。

Lullaby(ララバイ)

拍子:3拍子

子守唄の意味で、子供を抱いたり揺りかごで揺らしながら歌ったため、ゆったりとしたリズムを持つものが多いです。

子守唄のようなゆったりとした曲調で、バーレッスンのフォンデュなどで使われることが多いわ。

March(マーチ)

拍子:2拍子

行進曲で2拍子の行進のリズムです。近代では、バレエやオペラで舞踏会の入場などにも用いられています。

マーチは子供のクラスや、バーレッスンのグランバットマンで使われることが多いわ。バレエ作品だと、「くるみ割り人形」第1幕の行進曲として使用されているわ。

Minuet(メヌエット)

拍子:3/4拍子

フランス語の menu(小さい)に由来する典雅な舞曲。3/4拍子で、各小節の1拍目にアクセントがおかれ、比較的ゆったりとしたリズムで上品かつ優雅さがあります。17 世紀中期に宮廷舞踊として流行し、古典組曲ではJig(ジグ)の前におかれることもあります。

子供のクラスや発表会の小品集で使われることが多いわ。バレエ作品「アルルの女」第2組曲の「メヌエット」はとても有名で一度は聞いたことがあるんじゃないかしら。

Mazurka(マズルカ)

拍子:3/4拍子

3/4拍子を基本とする特徴的なリズムを持ち、ポロネーズと並んでポーランドで有名な舞曲です。第1拍目は付点が多く、第3拍(または第2拍)にアクセントを置く、特徴的なリズムの3拍子です。ショパンが芸術音楽にまで高めたリズム・パターンです。

レッスンでは、ピルエットやワルツに使われることが多いわ。バレエ作品だと、「コッペリア」第1幕や「白鳥の湖」第3幕、「レ・シルフィード」のマズルカが有名よ。

Polka(ポルカ)

拍子:2拍子

1830年に起こったチェコの民族舞踊曲です。速いテンポ、弾んだステップ、短短長(♪♪♩)のリズムを特徴とし、19世紀前半にワルツやマズルカと並んで舞踏会で重要な役割を果たすようになりました。陽気な速い2拍子が特徴です。

Polkaは、子供のクラスでスキップやタンジュなどで使われることが多いわ。

Polonaise(ポロネーズ)

https://www.youtube.com/watch?v=8yFBXy5zuxA

拍子:3/4拍子

フランス語で「ポーランド風」の意味で、マズルカと並んでポーランドの代表的国民舞踊です。典型的なポロネーズは荘重でゆったりした3/4拍子で、第1拍が16分音符で細分されているのが特徴です。

バーレッスンのグランバットマンなどで使われることが多いわ。バレエ作品の「眠れる森の美女」第1幕、「白鳥の湖」第1幕でもポロネーズが使われていて、一度は聞いてことがあるんじゃないかしら。

Rag(ラグ)

拍子:4/4拍子

1870年頃からアメリカを中心として、酒場やダンスホールで行われていた黒人ピアニストの演奏スタイルです。左手で2拍子を刻み、右手でシンコペーション(強調)を含むメロディーを演奏します。ジャズのルーツの一つとされています。

レッスンでは、タンジュやジュッテ、アレグロで使われることが多いわ。ジャズの前身の一つといわれていて、軽快なリズムが特徴よ。

Sarabande(サラバンド)

拍子:3拍子

17~18世紀にヨーロッパの宮廷で流行した、3拍子による荘重な舞曲です。速度やリズムは正確で威厳のある重々しい3拍子です。

レッスンでの使用頻度は低いけど、最近だとローザンヌ国際バレエコンクールのコンテンポラリー作品で、2006年金賞を受賞したセルゲイ・ポルーニンや、2015年第5位に輝いた金原里奈さんが踊った作品はSarabandeが使用されているわ、

Seguidilla (セギディリア)

拍子:3/4拍子

スペイン南部のアンダルシア地方の大衆的な舞曲です。ボレロに似た3拍子ですが、ボレロよりテンポが速く、カスタネットの活発なリズムで伴奏される速い3拍子の曲が多いです。ビゼーのカルメン第1幕や、ドンキホーテの第1幕に用いられています。

バレエ作品「ドン・キホーテ」第1幕で、街の喧騒の中で人々が扇子やタンバリンを手に、「セギディーリャ(スペイン舞踊)」を陽気に踊っているわよ。

Tarantella(タランテラ)

https://www.youtube.com/watch?v=Quajc5oMTOk

拍子:3/8拍子、6/8拍子

イタリア南部ナポリの舞曲で、3/8拍子または6/8拍子のテンポの速い曲です。名前の由来はイタリア南部の地名タラントからという説と、毒グモのタラントゥーラにかまれた時、この踊りを踊ると治るという伝説からという説があります。

レッスンでタンジュやジュッテで使われることが多いわ。バレエ作品だと、オーギュスト・ブルノンヴィル振付による「ナポリ」第3幕や、ジョー・ジバランシン振付による「タランテラ」が有名よ。

Tango(タンゴ)

拍子:2/4拍子、4/8拍子、4/4拍子

19世紀後期にハバネラ等を母体としてアルゼンチンに起こった舞曲。全般的に鋭いスタッカートを多用し、2/4拍子または4/8拍子で、後年4/4拍子でも書かれるようになりました。

Tangoはバーレッスンのフォンデュやエシャッペ、センターのピルエットやピケターンなどで使われることが多いわ。

Waltz(ワルツ)

拍子:3拍子

3拍子が一般的な円舞曲です。西オーストラリア・南ドイツが起源で、13世紀頃から今日のチロル州とバイエルン州の農民が踊っていたヴェラー(Weller) というダンスから成立しました。19 世紀のヨーロッパで流行したテンポの速い華麗な3拍子の舞曲です。

最後はWaltzhよ。誰もが一度は聞いたことがあるんじゃないかしら。バレエ作品でも多く使用されていて「白鳥の湖」第1幕、「眠れる森の美女」第1幕、「くるみ割り人形」第3幕の花のワルツ、「ジゼル」第1幕、「コッペリア」第1幕のなど、3拍子の優雅なリズムが特徴よ。レッスンでもよく使用されているわ。

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