三大バレエ作品「くるみ割り人形」のあらすじと見所を解説

作品・カルチャー

クリスマスの季節になると世界中で上演される「くるみ割り人形」。チャイコフスキーの美しい音楽とともに幻想的な世界が表現され、子供から大人まで幅広い年代の人たちを虜にします。

今回の記事では、世界中から愛されてきた聖夜のファンタジー作品「くるみ割り人形」について解説していきます。概要からあらすじ、登場人物まで詳しく解説していくので、くるみ割り人形について知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

三大バレエ作品のひとつ「くるみ割り人形」とは?

バレエにおける「くるみ割り人形」とは、ピョートル・イリイチ・チャイコフスキーによって作られたバレエ作品を指しています。

チャイコフスキーが遺した三大バレエ作品のひとつであり、クラシックバレエの古典作品の中でも特に高い知名度を誇る名作です。

クリスマスの定番といわれるバレエ作品でもあり、12月になるとチャイコフスキーによって作曲されたくるみ割り人形の音楽があちらこちらから聞こえてきます。

そのため、バレエに馴染みのない方でも「音楽だけは聴いたことがある」という人は多いでしょう。

代表的なものでいえば、第2幕の13曲に登場する「花のワルツ」があります。

上品かつ優美な曲調の音楽で、お店やカフェのBGMなどで耳にしたことがある方も多いと思います。そのような形で、くるみ割り人形の音楽は、バレエの枠を越えて様々なシチュエーションで親しまれています。

くるみ割り人形の内容

内容は、クリスマスの夜に少女クララがおじさんからくるみ割り人形をプレゼントされ、そのくるみ割り人形が実はお菓子の国の王子であったというもの。現実と夢の世界が両方とも描かれ、ファンタジーかつロマンティックな世界観の作品となっています。

くるみ割り人形の特徴

くるみ割り人形の特徴といえば、作品全体に楽しげな雰囲気が漂っていることです。

ホリデーシーズンを舞台にした作品なので、子供が楽しそうに走り回る場面やプレゼントの機械人形が面白い踊りを披露するシーンなど、ポップな描写が多分に盛り込まれており、観ているだけで楽しい気持ちにさせられます。

特に、劇の終盤に披露されるお菓子の国の精たちが見せてくれる様々な踊りは、次々に違う世界観が表現され、観る者を飽きさせません。

原作はE.T.A.ホフマン「くるみ割り人形とねずみの王様」

チャイコフスキーのくるみ割り人形は、1816年にE.T.A.ホフマンによって描かれた童話「くるみ割り人形とねずみの王様」が原作となっています。

ちなみに

元々の意味のくるみ割り人形とは、文字通りくるみを割るために作られた人形のことです。また、バレエ作品のくるみ割り人形で、くるみを割る描写は存在しません。

バレエ作品「くるみ割り人形」のあらすじ

それでは、くるみ割り人形のあらすじをご紹介します。くるみ割り人形は2幕構成になっており、第1幕では、クララとくるみ割り人形が出会う場面から雪の国を通過するところまでが描かれ、第2幕では、主にお菓子の国で歓待されるシーンが描かれます。

第1幕|人形との出会い~雪の国

クリスマス・イブの夜、ドイツのシュタールバウム家の大広間ではクリスマス・パーティが催されていました。シュタールバウムの娘であるクララは、子供たちと一緒に踊りを踊ってパーティを楽しんでいます。

そこに、父の友人である人形師のドロッセルマイヤーが現れました。ドロッセルマイヤーは、ピエロやコロンビーヌなど機械仕掛けの人形を次々に披露し、子供たちを喜ばせます。

その後、ドロッセルマイヤーは子供たちにクリスマスプレゼントを渡し、クララには世にも醜いくるみ割り人形を贈りました。その醜さから、子供たちの多くがくるみ割り人形を敬遠していましたが、何故かクララはそのくるみ割り人形を一目で好きになったのでした。

それを見たクララの弟フリッツが、くるみ割り人形を欲しがりクララと奪い合いになります。奪い合いの中でくるみ割り人形は壊れてしまい、ドロッセルマイヤーはフリッツを叱って部屋から追い出しました。

そして、壊れたくるみ割り人形を直そうとするのですが、なかなかうまくいきません。そうこうしているうちに、パーティはお開きの時間を迎えるのでした。

寝室で眠りにつこうとするクララ。しかし、広間に置いてきたくるみ割り人形のことが気になってしまい、夜中に起きて広間へ忍び込むのでした。

そのとき、時刻が零時を告げます。すると、クララの体が人形のように小さくなっていきます。突然のことに、驚くクララ。そこへ、どこからともなく現れたねずみの大群が押し寄せてきて、ガラス戸棚に仕舞われていたおもちゃの兵隊と戦いを始まります。

クララが驚いていると、くるみ割り人形がおもちゃの兵隊の指揮を執りはじめ、兵隊たちとともにねずみたちと戦います。

最後は、はつかねずみの王様とくるみ割り人形の一騎打ちとなり、激しい戦いが繰り広げられるのですが、次第にくるみ割り人形が押されていきます。

くるみ割り人形が窮地に陥ったそのとき、クララが隙を見てはつかねずみの王様にスリッパを投げつけました。

はつかねずみの王様はスリッパに気を取られてしまい、くるみ割り人形はその隙を突いてはつかねずみの王様に勝利を納めます。無事、ねずみの大群は退散していきました。

すると、世にも醜いくるみ割り人形は王子の姿となります。そして、助けてくれたお礼にクララをお菓子の国へ連れていくのでした。

舞台は雪の国へと変わり、幻想的な風景が広がります。道中で雪の女王や雪の精に見送られながら、王子とクララはお菓子の国を目指して歩みを進めるのでした。

第2幕|お菓子の国

2人は、無事にお菓子の国へ到着します。魔法の城へと招かれ、お菓子の国の王女であるドラジェの精(金平糖の精)に手厚くもてなされるのでした。

チョコレートの精やコーヒーの精、お茶の精やトレパックの精などが華やかな踊りを披露してくれます。

お菓子の国の多彩な踊りを見て、夢のような時間を過ごすクララ。しかし、その時間もいずれ終わりを迎えます。クララは踊りを披露してくれた皆に感謝し、別れを告げるのでした。

目が覚めると、そこはお菓子の国ではなく、自分の家にある広間のソファの上でした。クララは、そばにあったくるみ割り人形を愛おしそうに抱きしめると、自分に起きた出来事が夢ではないことを確信するのでした。

くるみ割り人形の登場人物

  • クララ:少女。本作のヒロイン。
  • 王子:お菓子の国の王子。ねずみの女王に呪われ、くるみ割り人形に変えられてしまった。
  • フリッツ:クララの弟。
  • ドロッセルマイヤー:クララのお父さんの友人。人形師のおじさん。クララにくるみ割り人形をプレゼントした。
  • はつかねずみの王様:王子に恨みのあるねずみの王様(チャイコフスキーの作品では、その背景は描写されないことが多い)
  • ドラジェの精(金平糖の精):お菓子の国の女王

くるみ割り人形の見せ場「雪片のワルツ」

くるみ割り人形には様々なシーンがありますが、その中でも特に見せ場となるのが「雪片のワルツ」です。雪片のワルツはクララと王子が雪の国を訪れたときのワンシーンで、統制の取れた美しいコールドバレエを堪能することができます。

これだけの人数が動きを合わせることは、まさに至難の業。わずかのズレも許されない緊張感抜群の踊りは、コールドバレエならではの魅力といえるでしょう。

クリスマスに観るバレエはくるみ割り人形で決まり

いかがだったでしょうか。バレエ作品のくるみ割り人形について詳しく解説しました。

くるみ割り人形はクリスマスを題材にした作品なので、冬の季節になると世界中のバレエ団で公演が行われます。それくらい世界的にポピュラーな作品なので、その時期に何かバレエ作品を観たいな~と考えている方は、ぜひくるみ割り人形を候補に入れてみてください。一度は観ておいて損しないと思います。

また、バレエ団ごとに振付や舞台演出が違うので、違うバレエ団の公演を観てその違いを楽しむのも通な楽しみ方です。少々お金はかかりますが、より一層クリスマスを楽しめるでしょう。

この記事が、バレエ作品のくるみ割り人形に興味を持っている方のお役に立てれば嬉しいです。くるみ割り人形を観て、ぜひクリスマスを楽しんでください。それでは、また。

チャイコフスキー三大バレエ作品

チャイコフスキー三大バレエ作品は、くるみ割り人形のほかに「眠れる森の美女」と「白鳥の湖」の2つがあります。どちらの作品も当メディアで解説記事を紹介しているので、合わせてこちらもぜひ読んでみてください。

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